14 October
笏谷石Q&A 「笏谷石公開講座」でのご質問の回答
2010年9月26日に「笏谷石公開講座」が行われました。その際、ご来場いただいた方々にアンケートを行い、
今回の「笏谷石公開講座」の講師、三井紀生先生への質問を募集致しました。
下記は、皆様からのご質問への回答です。
■■笏谷石Q&A■■
(●質問○答え)
● 火山礫凝灰岩は他県にはあるか、あった場合全国搬出された可能性はあるか
○ 火山礫凝灰岩は、火山活動によって噴出した礫の混じった火山灰が
固まってできたもので、種類も多く、広く各地に存在するようです。
近隣では笏谷石に似た色合いの石が、石川県小松市の滝ケ原町で産出しています。
私は、笏谷石以外の火山礫凝灰岩が旧くから広く全国へ移出された例はいまだ知りませんが、
以外の石で旧くから採掘されている島根県の来待石(粗粒凝灰質砂岩)、
今は採掘されていませんが福井県高浜町の日引石(安山岩質凝灰岩))などは
北から南まで広範囲に運ばれています。しかしこれらの石は採掘地以外の
地方では笏谷石のように多くは見られません。
● 笏谷石の「笏谷」はどこから出たか
○ 石の採掘地「笏谷」の地名をとったものと思います。史料によると「石谷(しゃくだに)」とか
「尺谷」と書く例も見られます。また『国事(こくじ)叢記(そうき)』の寛文8(1668)年の項に
越前の産物が羅列されていますが、この中に「笏谷石」の記述がみられます。
呼称については、最近は福井県以外でも笏谷石と呼ぶ人が多くなりましたが、地方によって
いろいろな呼びかたがあり、朝倉石、三国石、新保石、越前石、福井石、越前青石などと
呼ばれています。(地質学上は笏谷石という分類はありませんので、「笏谷石」はこれまで足羽山
と周辺で採掘されてきた石を総称した「ブランドネーム」と考えればいいのではないかと思ってい
ます)
● 県外で石造物を見て、笏谷石であることをどのようにして見分けるか
○ これまで20年余り各地で笏谷石の石造物を観てきました。この経験により、
笏谷石のもつ石自体の特徴(経年変化した時の色あい、風化のしかたなど)だけでなく、
笏谷石遺品に多い石造物の形状、荘厳方法などを併せて検討して笏谷石であるか否かを
判別しています。しかし、判別が困難な場合もあることを追記しておきます。
● 白山信仰の時代から、朝倉氏の時代石工や調師はどこに住んでいたか
○ 朝倉氏の時代以降について説明します。朝倉氏が住まいにした一乗谷には
非常に多くの笏谷石の石仏や石塔などがのこされているのはご承知の通りです。
現時点では、これらは完成品として福井から陸路および足羽川舟路を使って
一乗谷まで運ばれてきたものと考えられています。その理由は一乗谷のこれまでの
発掘遺跡のなかに石を加工したことを実証する遺跡(加工屑、瓦礫、残骸、
各種の加工工具など)が発見されていないためです。しかし一石五輪塔などの
没年月日や戒名ぐらいは一乗谷のどこかで彫刻していたのではないかと思われます。
今後の新たな発掘活動によって石の加工遺跡が発見されることを期待しています。
朝倉時代が終わった天正年間(1573-1591)頃は、北ノ庄に21〜25人の石屋がおり、
九十九橋架橋のための石材や福井城石垣用の石を切り出していたという史料が
のこされています。
近世の史料によりますと、福井の石坂町(現在の毛矢三丁目)は石屋の町で、
天明2(1782)年に28人の石屋がいました。また『三国(みくに)鑑(かがみ)』には、
元治元(1864)年三国(笏谷石の他国への沖出し港)に15軒の石屋があったことが
記述されています。
● 石は加工「越前式荘厳」されたものが移出されたのか
○ 越前式荘厳された石塔類は、越前(福井または三国)の石工によって加工されて移出され、
没年月日や戒名・法名部分の彫刻は現地の石工によったと考えています。
● 笏谷石の風化を防ぐ方法や科学的処理方法はあるか
○ 野ざらしの状態を改善して覆屋など建物内で保存にすることが好ましく、
各地で既設の建屋内または新たに覆屋を設置する保存活動が進みつつあります。
近年の例では西教寺(大津市)の阿弥陀如来と25菩薩来迎群像(脇侍を合わせて27体)は
寺院建屋内で、近郊では住吉神社(春江町高江)の板碑(2基)は覆屋を設置して
保存されるようになりました。風化があまり進展しない間にこのような対策を
実施していくことが風化防止の最善策だと考えます。
一方で、今はまだ実施情報を聞きませんが、石造物の風化を防止するための
科学的処理技術の確立も期待したいところです。
回答:笏谷石研究家 三井 紀生 氏
お忙しい中、ご来場くださいました皆様、ご回答してくださいました三井先生、
誠に、有り難うございました。
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12 August
平成22年度市民まちづくりゼミナール「福井の文化を学ぼう」部会 「笏谷石」公開講座
と き:平成22年9月26日(日)13:30〜15:00 〈開場〉13:00
ところ:アオッサ6階 研修室607
テーマ:
「笏谷石文化遺産」を後世にのこすために
講 師:日本海事史学会会員・笏谷石研究家
三井 紀生 氏
内 容:1.笏谷石について
2.越前式荘厳形式について
3.越前地方にのこる代表的な遺品
4.越前から各地へ移出された代表的な遺品
5.笏谷石は何故各地へ移出されたか
6.移出先・移出時期(越前・若狭以外の地方)
7.敦賀・小浜の盛衰
8.もの言わぬ証人
9.「笏谷石文化遺産」を後世にのこすために
定 員:80名(申込み・先着順)
参加費:無料
主 催:市民まちづくりゼミナール「福井の文化を学ぼう」部会
福井市 総務部 政策調整室
【お申込み方法】
下記へ電話でお申込みください。
市民まちづくりゼミナール「福井の文化を学ぼう」部会
TEL:0776-37-4055
※住所、氏名、電話番号をお知らせください。
また、下記の申込みフォームからでも、お申込み頂けます。
※但し、先着順ですので、定員(80名)になり次第、締め切らせていただきますので、
ご了承ください。
※ 講座案内リーフレット(チラシ)PDFファイルは、こちらから。
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19 November
『丹巌洞』での見学会と懇親会の報告
『丹巌洞』での見学会と懇親会の報告↑史跡『丹巌洞』の庭園など
※現在は、料亭として使用されています。
私たち文化部会も懇親会を行いました。楽しかったです。
盛り上がって、高級料亭なのに(笑)みんな・・・・飲み過ぎ(笑)
お料理美味しかったです。
一番下の写真は、私たちが懇親会をした和室の壁・・・。
この壁も、笏谷石を削ったとき出た、細かな石をさらに砕いて塗り壁の材料にしたそうです。
『丹巌洞』での見学会と懇親会
『丹巌洞』は、足羽山麓の“笏谷石”採掘跡地に静かに佇む土蔵造り2階建ての草庵です。1846年に福井藩医・山本瑞庵が建てたもので、藩主・松平春嶽を始め由利公正、橋本左内などの幕末の志士たちが密会を開いた庵として知られ、志士たちの遺稿などが数多く保存されています。ひょっとすると坂本龍馬もここを訪れたかもしれないと言われています。また歌人橘曙覧、横井小楠、中根雪江ら多数の文人墨客も来遊しました。当時の足羽川はこの丹厳洞の近くを流れていたため、福井城下から舟遊びしながらこの地に通うことができたそうです。笏谷石の洞と庭園には、当時のままの雰囲気が残っています。現在では、洞内は祠となっており、庭には、かなり古い松平春嶽像があるそうです。
1.と き:平成20年11月19日(水曜日)
午後6時30分〜
2.場 所:史跡・料亭『丹巌洞』
福井市加茂河原町1丁目5-12
TEL0776-36-2668
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12 November
『丹巌洞』での見学会と懇親会のご案内
『丹巌洞』での見学会と懇親会のご案内『丹巌洞』は、足羽山麓の“笏谷石”採掘跡地に静かに佇む土蔵造り2階建ての草庵です。1846年に福井藩医・山本瑞庵が建てたもので、藩主・松平春嶽を始め由利公正、橋本左内などの幕末の志士たちが密会を開いた庵として知られ、志士たちの遺稿などが数多く保存されています。ひょっとすると坂本龍馬もここを訪れたかもしれないと言われています。また歌人橘曙覧、横井小楠、中根雪江ら多数の文人墨客も来遊しました。当時の足羽川はこの丹厳洞の近くを流れていたため、福井城下から舟遊びしながらこの地に通うことができたそうです。笏谷石の洞と庭園には、当時のままの雰囲気が残っています。現在では、洞内は祠となっており、庭には、かなり古い松平春嶽像があるそうです。
この料亭『丹巌洞』において、先日の部会で決定しました通り、下記の日時、会費で、市民ゼミナール文化部会の懇親会(お食事会)を行なうこととなりましたので、改めてお知らせ致します。
記
1.と き:平成20年11月19日(水曜日)
午後6時30分〜
2.場 所:『丹巌洞』
福井市加茂河原町1丁目5-12
TEL0776-36-2668
3.会 費: 11,000 円
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05 October
『笏谷石の現品研修と坑道見学会』の報告
『笏谷石の現品研修と坑道見学会』の報告↑現品研修と坑道見学会の様子
『笏谷石の現品研修と坑道見学会』
1.と き:平成20年10月5日(日)
午前8時30分〜10時30分頃
2.集合場所:梶谷石材店
(福井市足羽5丁目3−15)
3.講 師:梶谷石材店
梶谷 末信 氏
4.内 容:a.笏谷石現品研修(梶谷石材店にて)
b.坑道跡見学 (七ッ尾口にて)
※見学は入口付近のみ
5.参加者:20名
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